お金がなくても病院を受診できる「無料低額診療」について

「無料低額診療」は、お金がなくて病院を受診できない人のための救済制度です。
健康保険証を持っていない、保険料に未納があるなど、経済的な理由で生活に困っている人も珍しくありません。
お金がない、または足りない人でも病院を受診できる方法についてやさしくまとめました。

「無料低額診療」とは?

お金がない、配偶者から暴力をうけているなど、さまざまな事情で病院にかかれない人がいます。
「無料低額診療」は、医療機関が無料または低額な料金で診療をしてくれる事業です。
ソーシャルワーカーが面談をおこない、お金や、仕事など病気以外の根本的な問題についても力になってくれます。

対象者はどんな人?

無料低額診療の対象は、

  • 所得が無い、または少ない人
  • 生活保護を受けている人
  • ホームレス状態にある人
  • DV被害者
  • 国民健康保険料を滞納していて国保が使えない人

などの理由で、生活に困っている人です。

全国各地404か所の医療機関で実施しています

無料低額診療をおこなう医療機関は、全国各地に病院113施設、診療所228施設、歯科診療所35施設、老人保険施設28施設あります(2017年7月現在)。
なかには、こども診療や歯科診療施設もあります。
民医連(全日本民主医療機関連合会)のウェブサイトで、施設一覧をご覧ください。

無料低額診療を受けるまでの流れは?

電話で無料低額診療の希望を伝える

まず受診したい医療機関に、無料低額診療を受けたいことを電話で伝えましょう。
診療をうけるまでの流れと説明を聞き、必要な書類を準備します。
所得源泉徴収票、限度額適用認定書、課税証明書、年金通知書、通帳などの書類が必要です。

薬の処方についても確認してみましょう

病院外の調剤薬局で薬の処方を受けると、通常どおり3割の負担額がかかります。
病院によっては、院内処方を実施して、くすり代も無料または低額にしているところもあるので、相談してみましょう。

医療ソーシャルワーカーと面談後、受診

病院で医療ソーシャルワーカーと30分~1時間程度の面談をします。
面談では生活状況、経済状況、家族構成、診療費、診療内容などを聞いて、無料低額診療が利用できるか判断します。
急病や体調によっては先に診療して、状態が落ち着いてから面談をおこなう場合もあります。

該当しなかった場合も支払いの相談ができます

面談の結果、無料低額診療を利用できなかった場合でも、分割払いなどの相談に応じてくれますので安心してください。

問題の解決にむけて

ソーシャルワーカーは、お金、介護、暴力など、現在の生活で生じている問題を解決するため、専門的な立場からサポートしてくれます。
市役所などと連携して、ほかにも利用できる制度がないかなど、安心して治療が受けられるようにしてくれる心強い味方です。

ひとりで悩まず相談を

「無料低額診療」は、まず病気やケガを治し、そこから生活を再構築するための前向きな救済制度です。
「どうしようもない」「もういいや」とあきらめないで、勇気を出して相談してみましょう。