介護サービスのはじめの一歩「要介護認定」とは?

「要介護認定」とは、介護保険の支給対象である介護サービスを受けるための最初の手続きです。
要介護度と要介護認定についてやさしくまとめました。

どのくらいの介護サービスが必要かの目安となる「要介護度」

要介護度は、全部で7段階に分かれています。

  • 要支援1・2
  • 要介護1・2・3・4・5

要支援から要介護へ、数字が少ないほど症状が軽いとされます。

要介護度に応じて、受けられる介護サービスの種類と料金が変わるため、介護サービスを利用したい人が「どの程度、介護のサービスが必要か」を判断する必要があります。そのための手続きが「要介護認定」です。

例:要介護度別のおおまかな状態区分(静岡県静岡市の場合)

要介護度 状態の目安
要支援1 ①居室の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある。
③排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
要支援2 ①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
④排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
要介護1 ①~④は、要支援2に同じ。※
⑤問題行動や理解低下がみられることがある。
要介護2 ①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要と
する。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする。
④排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。
⑤問題行動や理解低下がみられることがある。
要介護3 ①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。
④排泄が自分ひとりでできない。
⑤いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護4 ①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりではできない。
④排泄がほとんどできない。
⑤多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護5 ①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作がほとんどできない。
④排泄や食事がほとんどできない。
⑤多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

※要介護度の状態区分の定義はありません。
※あくまで平均的な目安なので、実際に認定を受けた人の状態がこの表に示した状態と一致しないことがあります。

要介護認定の流れ


要介護認定は、次のような流れでおこないます。

1.市町村の担当課・地域包括支援センターへ

市町村の高齢者福祉の担当課あるいは地域包括支援センターへ、介護サービスを利用したい旨を相談しましょう。
要介護認定の申請書や医師の意見書などの書類とともに、手続きの説明を受けます。

書類は市町村のホームページからダウンロードできるところもありますが、はじめて介護サービスを利用する場合は直接訪れたほうがよいでしょう。

2.必要書類の提出

提出する書類は次のとおりです。
必要事項を記入して、提出しましょう。
家族が代理で申請することもできますよ。

  • 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証(65歳未満の方は健康保険証)
  • そのほか、市町村が指定する書類

医師の意見書(診断書)の作成依頼

かかりつけのお医者さんに行き、意見書を書いてもらうよう依頼します。
意見書はお医者さんから直接役所に送付してもらうケースが多いです。

なお、お医者さんにかかっていないけれど、家族や本人の判断で要介護認定を申請する場合も、医師の意見書は必要です。
(つまり一度はお医者さんにみていただくことになります。)

3.調査員による調査と、コンピュータによる一次判定

申請書が受理されると、市町村職員(認定調査員)により、利用者本人の状態を確認する現地調査がおこなわれます。
日程は事前に調整し、場所は自宅や施設、病院など本人の状態によってさまざまです。
調査内容から、コンピュータによりおおまかな要介護度を推定します。

調査の内容は概況調査・基本調査・特記事項など

調査内容は大きく3つ、概況調査・基本調査・特記事項です。
概況調査は本人の生年月日や現在受けているサービスなど。
基本調査は「寝返りができるか」「外出の頻度はどのくらいか」など、項目がたくさんあります。
特記事項は調査員が判断に迷った事柄など。
本人・家族への聞き取りや実際の動作を見たりしながら、心身の状況について調査していきます。

調査は家族立ち合いのもと、だいたい1時間~1時間半くらいかかります。

4.専門家チームによる二次判定の後、要介護度が決まります

調査員からの報告と一次判定と主治医の意見書などをふまえて、専門家による二次判定がおこなわれ、要介護度が決まります。

要介護認定の申請から要介護度の認定までにかかる期間は、約1ヶ月です。

認定された要介護度に納得できない場合は不服申し立てもできます

認定された要介護度に不服がある場合は、結果通知後60日以内に「不服申し立て」をすることができます。
その場合は都道府県に申し立て手続きをおこないます。
ただ、状態が急変した場合は随時「区分変更申請」をおこなって要介護度が変わるので、件数自体は少ないようです。

調査員による調査。気を付けることは?

普段通りのふるまいをみせること

いつもはできていないことも、調査員が来たときには無理にがんばってしまうひとがいるようです。
「できない」が「できる」と記録されてしまうと、本当に必要なサービスが受けられない、ということになりかねません。

「できないことを見せる」のはつらいものです。
調査員も目立たないようにそっと見守るなど工夫してくれますので、普段のふるまいと違うと思ったら家族がフォローするなどして、できるだけ普段の様子を伝えるようにしましょう。

困っていることや普段の生活についてメモを用意しておきましょう

調査員へ伝え忘れを防ぐため、普段の生活で不自由していることや、困っていること、家族が気づいたことなどを、箇条書きでよいのでメモしておきましょう。

日常使っている補装具についても伝えましょう

コルセットなど、普段使っている補装具があれば調査員に伝えましょう。

要介護度には有効期限があります

症状や心身の状態は年月により変わります。そのため、要介護度には有効期間があります。
最初の認定から6か月、その後は1年または2年ごとに更新していきます。(市町村により異なります)

有効期限の60日前から、更新の手続きができます。
もちろん期間内に心身の状態が変わることもありますので、そのときは随時、要介護度の変更(区分変更申請)を申し出ることができます。

くわしくは市町村の担当課または地域包括支援センターへ

要介護認定については市町村が管轄していますので、担当課または地域包括支援センターで相談してください。