ご存知ですか?子どもが家族の世話をする「ヤングケアラー」

近年、親や兄弟の介護をする若年層「ヤングケアラー」が社会問題として、取り上げられています。
その要因は少子高齢化・核家族化、共働き世帯の増加など考えられますが、まだこの問題を知る人も少なく、国としての支援の取組みは始まったばかりです。
ここでは、「ヤングケアラーの実情」や「どのような課題があるか」を紹介します。

ヤングケアラーとは

家族にケアを要する人がいる場合、普通なら大人が担うと考えられる家族の世話や家事などを、日常的に行っている子どもや若者のことを指します。
たとえば、こんな子どもたちです。

出典:厚生労働省ウェブサイト「ヤングケアラーについて」

ヤングケアラーはどのくらいいるの?

中学生・高校生を対象にしたアンケート調査によると、

  • 世話をしている家族が「いる」と回答した中高生は全体の4~6%
  • その中で「ほぼ毎日世話をしている」と答えたのは40~50%
  • 「1日平均7時間以上世話をしている」と答えたのは約10%

また、世話をしている家族が「いる」と回答した中高生のうち、1日あたりの世話に費やす時間が3時間以上と答えた子どもは半数にのぼります。
大体クラスに1~2人の生徒がヤングケアラーと考えられる計算になります。

ヤングケアラーの抱える問題は?

子どもが日常的に長時間家族の世話をすることで、どんな問題がおこるのでしょうか?

まず、子どもらしい生活が送れず、勉強時間がとれなくなるおそれがあります。
宿題をする時間がない介護疲れで授業に集中できないなどの状況が続くことで学力が低下し、結果的に進学・就職を断念してしまう場合もあります。

また、「家族の世話」は友人や知人との共通の話題になりにくく、人間関係が希薄になりがちです。
友人に話しても理解されなかったり、相談する人がいなかったりして、最終的に孤立してしまう場合もあります。

自覚しにくく、問題が表面化しにくい

ヤングケアラーの問題は、デリケートな家庭の事情がからむこともあり、問題が表面化しにくいのが現状です。

例えば、誰かの助けを必要としていても、家族の状況を知られたくない、そもそもどんな支援をしてもらえるのか知らない、誰に相談したらいいかわからないなどの理由で、子ども自身からの発信がしづらいということがあります。

また、幼い頃から家族の世話が当たり前の生活になっていたり、それが生きがいになっている子どももおり、自分自身がヤングケアラーだと気づきにくい側面もあります。

いずれにせよ子ども自身が支援を求めることは難しいため、家族はもちろん周囲の大人が気づき、適切な支援を受けられるようにすることが大切です。

まずは、ヤングケアラーについて知ることから

家族や周囲の大人が「ヤングケアラー」について知ることで、たとえば介護サービスを手厚くしたり、経済的な支援制度や家事支援サービスを活用するなどして、家族そして子どもの負担を減らすことにつながります。

家庭でのお手伝いか、ヤングケアラーなのかの見極めが難しい、教師・介護職・医療従事者・福祉従事者間の連携が必要など、解決すべき課題は多いですが、ヤングケアラーの支援について、政府のプロジェクトチームによる対応方針が2021年5月に発表されました。

ひとり一人に寄り添った支援がスムーズにできるようになるといいですね。

ヤングケアラーかな?と思ったら

ヤングケアラーの問題は、周囲の大人ができるだけ早期に気づいてあげることが解決の近道です。

ご近所、知り合いのお子さんで、きょうだいの幼稚園への送り迎えを子どもがしている、家事を子どもがしていると聞いた、学校に行っている時間なのに学校以外で見かけるなど、「ヤングケアラーかな?」と思ったときは、学校や教育委員会に連絡してみてください。(下記厚労省のページにその他の相談窓口も紹介されています)

参考 政府プロジェクトチームによる対応方針報告書(PDF)文部科学省 参考 ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書(PDF)三菱UFJリサーチ&コンサルティング