社員も会社も元気になる「健康経営®」

働き方改革、ワークライフバランスなど、個人の生活の質が重視される世の中になりました。
それを受けて、「従業員の健康を重視し、かつ生産性と利益を上げよう」という健康経営の重要性も高まり、実際に取り組む企業も増えてきました。
ここでは、健康経営とは何か?どんなメリットがあるか?などを紹介します。

健康経営とは

「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営課題としてとらえ、従業員の健康の維持・増進と、会社の生産性向上をめざす経営手法です。
ここでいう健康とは「身体」だけではなく「精神」、すなわちメンタルヘルスも含みます。
健康経営は「国民の健康寿命の延伸」の取り組みの一つとして、経済産業省も推進しています。
※健康経営は、「NPO法人健康経営研究会」の登録商標です。

中小企業こそ取り組みたい「健康経営」

①中小企業における健康経営に関する認知度

経済産業省の「中小企業における健康経営に関する認知度調査」によると、健康経営を実践している事業者は約20%です。
また、今取り組んでいなくても、これから取り組みたいと考えている事業者は50%以上いて、従業員に対する健康意識が高まっています。

中小企業こそ健康経営の効果は大きい

小数精鋭の従業員への依存が大きい中小企業では、従業員の健康に関する効果は明確に現れます。
また、健康経営を掲げることにより、優秀な人材の確保や定着にもつながります。
人材確保・定着ができることで、労働時間の短縮、休暇取得率アップも期待できます。
一方日本全体を見た場合、労働人口の約70%は中小企業で働いていますので、国全体としての効果も大きくなります。

こんな困り事ありませんか?健康経営が必要な状況

  • 休職者・離職者が多い。
  • 遅刻や無断欠勤を繰り返す従業員が多い。
  • 健康診断やストレスチェックの結果が悪い従業員が多い。
  • やる気・モチベーションが低い従業員がいる。
  • 就業中の事故が多発している。

みなさんの会社ではこのような問題はありませんか?
上記のような会社が従業員の健康について考えるようになったことにより、状況が改善し「従業員が安心して元気で働く」ことを実現した例は数多くあります。
思い当たる節があればご検討されてはいかがでしょう。

事業者にとってのメリット

①短期的メリット

  • 従業員が安心して元気で働ける。
  • 労働生産性向上(ストレス軽減、疾病による欠勤低下、仕事へのモチベーションアップなどによる)
  • 従業員の定着・離職率低減(安心感、貢献意欲向上などによる)
  • 会社内部の活性化

②長期的メリット

  • 従業員の健康への配慮が認められ、会社のイメージアップ
  • 地域及び商店街の活性化

健康経営を取り入れることで、経営者・従業員自身が健康への関心を持ち、知識を向上させて健康を保てるようになります。
また健康診断へ定期的に行くようになれば、自分の身体がどのような状態かが把握でき、早めの治療で医療費も抑えられる可能性があります。
何かしら持病があって定期的に通院している人の方が、結果的に健康寿命が長いともいわれます。
健康意識が高くなり、健康のための実践を自然にできるようになるのも、健康経営のメリットです。

今から取り組める健康経営の具体的事例

健康に関する研修や健康イベントを開催するだけでなく、従業員が自分達で話し合い、健康のためにはどんなことをすれば良いかなど、コミュニケーションをとるところから始めて、その会社独自の施策を実施している例も多いです。

①広島県B社(従業員:約150名)

複数従業員の病気による休職や退職を機会に、2017年度より取り組み開始。

●主な取り組み

  • 働き方改革の機運が高まり、安全衛生委員会や働き方改革委員会で有給休暇取得・長時間労働について状況報告、対策の話し合いを行っている。
    必要な場合は産業医との面談を促進している。
  • インフルエンザ感染予防として、産業医による社内での予防接種を実施。
    日程が合わない従業員は個人で病院に行き予防接種を実施。

●効果

  • 休職者の減少、体調不良による退職者がいなくなり、生産性を低下させることなく操業ができている。
②愛知県N社(従業員:約20名)

従業員の健康診断の結果、健康と言える人が数名しかおらず、会社の将来に不安を感じ、まずは、協会けんぽ愛知支部に健康宣言を行うことから開始した。

●主な取り組み

  • 健康増進に向け喫煙者削減と敷地内すべて禁煙。
  • 過重労働防止に向け、ノー残業デー(一斉消灯)設置、残業時間削減、年間有給取得率目標設定。
  • 運動機会を増やす目的で、毎朝ラジオ体操、全社員参加の運動イベント:年4回以上

●効果

  • 定期健診での再検査者が減り、様々な活動への理解が得られるようになった。
③香川県S社(従業員:14人)

一緒に働く従業員全員が、心も体も元気で楽しく働ける環境作りを第一に考え、無理せず継続できる内容を意識して取り組んでいる。

●主な取り組み

  • 検診前30日間を「運動強化月間」とし、各自の目標に基づき「運動・食事・禁煙」などの取り組みを行う。
  • 教育委員会と連携し「親子で早寝・早起き・朝ごはん」の取組み、早く帰宅し家族で食卓を囲み、親子で生活リズムを整えることにつなげている。

●効果

  • 従業員全員が検診結果の重要性を理解し、健康の意識が定着した。