高齢ドライバーの免許更新と安全について

高齢者にとって、自分がいつまで車を運転できるか不安になったり、高齢の家族の運転が心配になることも多くなります。
ここでは、高齢ドライバーが安全に運転できる制度や、安全安心に運転できる車などの紹介をします。

高齢ドライバーの運転免許更新について

高齢ドライバーは自動車の運転のベテランですが、年齢とともに視力・体力、記憶力・判断力などが変化し、若いときと同じではなくなってきます。
そうした身体機能の変化を理解し、変化に応じた運転を行うことで安全運転を続けることができます。
その身体機能の変化を正しく認識してもらうため、70歳以上の高齢ドライバーは免許更新時に、特別な講習を受講するようになっています。

なお、運転免許の有効期限は、

  • 70歳(更新時に70歳になる)以下の場合:5年
  • 71歳(更新時に71歳になる)  の場合:4年
  • 72歳(更新時に72歳になる)以上の場合:3年

と定められています。
ただし、交通違反や事故を起こしてゴールド免許でない場合は、年齢にかかわらず3年です。

高齢者の講習

運転免許の更新には、有効期限までに年齢に応じた講習を受ける必要があります。

  • 70~74歳の場合:高齢者講習
  • 75歳以上の場合:認知症機能検査、高齢者講習、運転技能検査(一定の違反歴のある方のみ)

講習の受講には、事前予約が必要です。
運転免許の有効期限の半年前には、必要な検査や講習についての「お知らせ」が送付されます。
混雑する時期もありますので、早めに予約しましょう

高齢者講習には「実車指導」があります

実際に教習所のコースで自動車を運転して、その状況についてアドバイスを受けます。
当日は運転に適した服装で、必要に応じてメガネや補聴器なども持参しましょう。

認知機能検査について

75歳以上の人が高齢者講習の前に必ず行なうもので、

「時間の見当識」:検査日の年月日、曜日、時刻を回答する
「手がかり再生」:記憶した16枚のイラストの名前を回答する

の2項目により判断力と記憶力の検査を行います。

認知症の兆候がある人にとってはむずかしい検査と感じますが、そうでない場合は、むずかしい検査ではありません。
検査の結果、「認知症のおそれがある方」「認知症のおそれがない方」いずれかの判定が出ます。

「認知症のおそれがある」と判定された場合、医師の診断を受けます。
医師が認知症と診断した場合は、免許停止もしくは取り消しという措置がとられます。
認知症ではないと判断された場合、高齢者講習を受講します。

運転技能検査

実際に教習所のコースで自動車を運転して、加齢による身体機能の低下の程度を判定するための検査です。
過去3年間に信号無視などの一定の違反歴がある方が対象で、この検査に合格しないと運転免許証の更新ができません。ただし、更新期間満了まで何度も繰り返し受験できます

活用しましょう! あらたな選択肢「サポートカー限定免許」

運転に不安を感じる方に対して、運転免許証を自主返納するのでなく、「より安全なサポートカーに限って運転をする」という新たな選択肢を設けた制度です。

この限定免許の申請はいつでも可能ですが、免許証の更新と同時に行うこともできます。
限定免許への切り替えは、あくまで自主的な申請にもとづいて行われるもので、交通違反や運転技能検査などをきっかけに、強制的に切り替えるようなものではありません。

  • サポートカー限定条件を付与できる免許は、普通免許のみです。
    中型免許や第二種免許など、普通免許より上位の免許をお持ちの方は、免許の一部取消しにより、普通免許に変更していただいた上で、条件を付与することができます。
  • サポートカーとして性能認定を受けた車は、2020年度以降に製造された車種に限られます。
    安全装置を後付けで設置した車は対象外となっているため注意が必要です。
  • サポートカー限定免許にした方がサポートカー以外の自動車を運転した場合、条件違反となり、罰則の対象となります

サポートカーの安全装置の条件や具体的車種については下記サイトで紹介されています。

安全運転のために

高齢運転者標識をつけましょう

高齢者が運転していることを示す標識は、2種類あります。
1つは通称「もみじマーク」(旧マーク)です。
2011年以降は、四つ葉のクローバーをモチーフにデザインが一新されました。
(現在も「もみじマーク」の使用は可能です。)
高齢運転者標識は、初心者マークとは異なり、義務ではありません。
しかし、高齢運転者標識を付けている車への幅寄せや割込みには罰金が課されます
安全を確保するためにも、前向きな気持ちで標識をつけることをおすすめします。

安全運転をサポートする自動車の安全装置

交通事故を防止するには、安全運転を心掛けることが一番大切ですが、どんなに注意していても完璧な運転を続けることは難しいものです。
75歳以上のドライバーについて、死亡事故を要因別に比較すると「操作不適(操作ミス)」による事故が28%(75歳未満の約2倍)と最も多く、このうち「ハンドル操作不適」が全体の14%となっています。
また「ブレーキとアクセルの踏み間違い」も全体の7%と高い数字が出ています。(令和2年交通安全白書:内閣府)

最近は、高齢者の運転をサポートしてくれる先進安全技術を搭載した車が数多くあるので、そういった車を選ぶということも交通事故防止につながります。
各自動車メーカーによりさまざまな技術が実用化されていますので、その中の主なものを紹介します。

運転に不安がある場合の相談窓口

都道府県警察では、運転に不安がある方の相談窓口を設けています。

高齢ドライバーやその家族、身体の障害や病気等により自動車の安全な運転に支障のある方などが、看護師等の医療系専門職員をはじめ専門知識の豊富な職員に相談することができます。

電話でも相談できるよう、全国統一の専用相談ダイヤル(♯8080)も利用できます。
安全運転の継続に必要な助言・指導のほか、運転免許証の自主返納制度や自主返納者に対する各種支援施策についても案内してくれます。

当サイトでも免許証の自主返納について紹介しています。
こちらの記事もご覧ください。

運転免許証の自主的返納について