あなたの部屋は安全ですか?地震に備える家具配置|家具の固定方法

いつ起こるかわからない地震。いざという時に少しでも被害を減らすため、自分たちでできることは何があるでしょうか。
今回は家の中にスポットをあてて、防災のためにしておくべきことを紹介していきます。

被災者の半分近くが家具で怪我をしています

〈地震時における家具類の転倒・落下・移動による怪我の割合〉

最近発生した地震では、被害にあった人の半分近くが、家具が倒れたり落下したりしたことで怪我をしています。
1995年に発生した阪神淡路大震災でも、残念ながら多くの人が家屋の倒壊や家具の転倒によって亡くなりました。
いざという時に少しでも被害を抑えられるよう、家具は固定するなどして備えましょう。

高層階ほど大きく長く揺れが続きます

〈階層別の家具の転倒・落下・移動割合〉

2011年に発生した東日本大震災の調査によると、「家具類の転倒・落下・移動があった」と答えた人の割合は、高い階層に住む人ほど多くなることがわかりました。

地震の揺れを考慮して家具の配置を見直しましょう

部屋の揺れる方向を意識して家具の向きを決めましょう

建物には揺れやすい方向があることをご存じですか?
たとえば下図のような長方形のマンションを上空から見た場合、地震のときには短い辺の向きで揺れやすくなります。
試しにお手持ちの本を立てて、長辺と短辺、それぞれの方向に揺らしてみるとその違いを実感しやすいでしょう。

長方形の本棚や食器棚などを建物と同じ向き(図表の赤の家具)で設置すると、揺れに弱く、倒れやすくなります。
反対に、家具の長辺面を揺れに弱い方向と平行(図表の青の家具)に配置すると、揺れに抵抗するため倒れにくくなるのです。

このとき部屋の形だけで考えると、効果的な設置と逆の向きになってしまうことがあります。
上の図であれば、部屋だけで見れば長いのは縦方向ですが、建物全体で長いのは横方向です。
地震に備えた家具の配置を考えるときには、部屋の形ではなく建物全体の形を考えることが大切です。

夜間でも被害の少ない家具配置のポイント

夜間の眠っているときに地震がおこった場合、とっさに机の下に隠れることができる人は少ないでしょう。
暗闇のなかで命を守るためにも、事前の備えは大切です。

たとえば、就寝するスペースに転倒した家具がぶつからないよう、ベッドや布団と家具の間には十分なスペースを取っておくようにしましょう。
地震のとき、家具は揺れながら移動し、そして転倒します。
これは「ロッキング移動」と呼ばれる現象で、揺れが長く、大きくなる高層階ほど発生しやすくなります。
ですから家具が移動しても安全なように、空間に余裕のあるレイアウトを心がけることが大切なのです。

出入り口の付近や廊下に家具を置かない

部屋のドア付近に家具を置いていると、地震のときに家具がドアの方向へ倒れてしまう恐れがあります。
廊下に置いてある家具が通路を塞ぐように倒れてしまい、避難できないこともあります。
いざという時に避難経路をふさがないよう、出入り口の近くと通路には大きな家具を置かないようにすると安心です。

転倒を防ぐため家具を固定しましょう

通路や狭い場所には家具を置かない。家具の向きにも注意する。そうは言っても、大きな家具の移動は簡単ではありません。
そのような場合は、専用の器具を使って家具をしっかり固定しましょう。

L字金具による固定が最も確実

家具の固定で最も安全性の高い方法は、家具を部屋に固定してしまうことです。
ホームセンターなどにある
L字金具を使って、家具と壁をネジで固定すると強い揺れでも倒れにくくなります。

穴を空けられない時は、つっぱり棒を活用

アパートなどで壁に穴を空けることが難しい場合は、つっぱり棒(ポール型固定器具)を使って家具を固定しましょう。
つっぱり棒は家具の奥の部分、壁に近い場所に取り付けましょう。

補助器具を併用して耐震効果を高めましょう

固定金具やつっぱり棒などと合わせて補助器具を使うと、より安心です。

  • マット材:家具の安定感を高める

粘着性のゲル素材でできており、家具と床の間に挟むことで家具の安定感が増します。

  • ストッパー:家具の転倒を防ぐ

家具の手前の下部分にくさびのように挟み込むことで家具を壁側に傾けさせ、手前に倒れるのを防ぐ役割を果たします。

取り付けサービスも利用できます

対策器具の付け方がわからない場合は、工務店やシルバー人材センターで取り付けを頼むこともできます。他にも家具販売店や、ホームセンターで取付けサービスを実施しているところもありますので、購入するときに聞いてみましょう。

また市区町村の中には高齢者や障害者世帯等に対して、無料や少額で器具などを配布し、取付けに関する支援をしてくれる助成制度があります。詳しい内容は、各区市町村で異なりますので確認してみましょう。