生活苦を総合的に支援する「生活困窮者自立支援制度」とは

近年、生活保護を受けてはいないけれど生活に困っている、という方が増加しています。
生活保護に至らないように、総合的な支援を行う「生活困窮者自立支援制度」をご存知ですか?
生活保護の制度は知っていても、この制度を知らない人は多いのではないでしょうか。
ここでは「どのような制度なのか」「どのような支援があるのか」「どこに相談すればよいか」などを紹介します。

生活困窮者自立支援制度とは

この制度は、失業や就職活動の行き詰まりなどにより経済的に困っている方を対象に、自立の促進を図っていくことを目的としています。

生活保護制度との違い

生活保護制度は、生活に困窮する方に対して最低限度の生活の保障と自立の助けを目的とした、現金もしくは現物を給付する制度です。

生活困窮者自立支援制度は、基本は現金給付でなく、経済的・社会的な自立に向けた相談支援が中心となります。

生活保護の前段階となる第2のセーフティネット

何かの原因で働けなくなったり、収入が途絶えてしまったりしたときに、生活を支えてくれる仕組みがセーフティネットです。
日本の場合、第1のセーフティネットとして、健康保険や年金があります。(社会保険、労働保険など)
例えば、医療費がかかった場合は、健康保険が一部負担してくれます。
また、働けなくなった場合には「厚生年金」や「雇用保険」などが支えとなります。

また、最後のセーフティネットとして「生活保護」があります。
生活困窮者自立支援制度は、生活困窮者が生活保護の受給に至らないように支援する、「保険や年金」と「生活保護」の間を補う「第2のセーフティネット」としての役割をもっています。

支援の内容

①自立相談支援

まず、就職、住まい、お金、家族の悩みごとなど、困っていることをなんでも話してください。
相談員が一緒に自立への支援プランを立ててくれます。
支援プランにかかわる専門機関と連携しながら、相談員が一緒に支援してくれます。

②住居確保給付金

会社をやめるなどで、住まいを失った方、もしくは失うおそれのある方に、就職活動などを条件に一定期間家賃相当額を支給してくれます。
住居を整えたあと、就職に向けた支援をしてくれます。

③就労準備支援

就労準備支援

障害やひきこもりなど「社会に出ることに不安がある」「他人とうまくコミュニケーションできない」といった理由ですぐに職に就くことが難しい方には、6か月から1年の間、一般就労に向けた基礎能力のトレーニングを提供してくれます。

就労訓練

上記の「就労準備支援」だけでは不十分と見込まれる方には、その方に合った支援付き就労の場を提供し、中・長期的な支援を通じて一般就労を可能にする就労訓練(中間的就労)を受けることができます。

④家計改善支援

例えば収入が少ない上に、多重債務や公共料金・社会保険料の滞納に陥った時、債務整理・分割納付などの指導をしたうえで、これからの家計管理方法のアドバイスをしてくれます。

⑤子どもの学習・生活支援  

子どもの学習支援をはじめ、日常的な生活習慣、仲間と出会い活動ができる居場所づくり、進学に関する支援、高校中退の防止支援などをしてくれます。
また、子どもの進学について保護者に助言するなど、子ども・保護者の双方に対して支援をしてくれます。

⑥一時生活支援(居住支援含む)

住居を持たない方やネットカフェ宿泊を続けているなど、広義のホームレスの方に、緊急的に一定期間、宿泊場所や衣食を提供してくれます。
その後の生活に向けて、就労支援などもしてくれます。

ひとりで悩まず相談を

各市町村ごとに相談窓口があります。
ひとりで悩まず、相談してください。

自立相談支援機関 相談窓口一覧(令和3年7月1日現在)PDF:厚生労働省

なお一般社団法人 生活困窮者自立支援全国ネットワークが運営する「困窮者支援情報共有サイト」で支援についてくわしく見ることができます。

困窮者支援情報共有サイト〜みんなつながるネットワーク〜