現在、国は「親とこどもたち一人ひとりのためのこどもの成長支援プロジェクト」と銘打ち、政府全体で困難な状況にあるひとり親世帯を支えていこうという事業に取り組んでいます。
ここではその取り組みを、子育て生活支援編、就業支援編、経済的支援編に分けて紹介します。
子育て・生活支援編
1. 市区町村の福祉事務所に「母子・父子自立支援員」がいます
行政から委嘱された自立支援員が、生活一般や就業支援、また資金の貸し付けなどに関する相談を行っています。
2. ひとり親支援の総合相談窓口があります
ひとり親家庭に対して就業支援専門員を配置し、ハローワークなどと協力して就業を支援したり、子どもの保育所、放課後児童クラブへの優先入所、家庭生活支援員の派遣も行います。
また、子どもの学習支援、養育費の相談、児童扶養手当の支給、各種貸付金などの経済的支援も行っています。
3.ひとり親家庭の日常生活を支えます
親が病気などで子どもの世話ができなくなった時には、家庭生活支援員を派遣し、家事や介護など身の回りの世話や、子どもや乳児の世話などを行います。
4.家計管理・生活支援講習会
ひとり親家庭は日々の生活に追われ、家計管理や子どものしつけ、自身の健康管理など、様々な困難に直面することがあります。
家計管理、子どものしつけや育児などの講習会を開いたり、また高卒認定試験のための学習支援などを行い、ひとり親家庭の生活の向上を図っています。
5.子どもの生活・学習支援
ひとり親家庭の子どもには、放課後児童クラブ終了後、生活習慣の習得、学習支援、食事の提供等を行い生活の質の向上を図っています。
6.母子生活支援施設があります
母子家庭においては、その母子を保護するため、母子生活支援施設に入所することができます。
7.子どもは児童養護施設に入所できます
親の病気や仕事などで一時的に子どもの世話ができなくなった場合には、子どもを児童養護施設に預けることができます。
原則は7日以内ですが、延長も可能です。また夜間だけの入所もできます。
8.住宅支援資金
児童扶養手当を受けている世帯に対して、無利子で賃貸住宅の家賃を貸し付けています。(1年間に限り上限4万円)
9.市区町村による支援
お住いの市区町村によって、ひとり親家庭に対してさまざまな支援や手当があります。
例えば以下のようなものです。
- 住宅手当:20歳未満の子どもがいて民間アパートに6カ月以上住んでいる場合、住宅手当を支給します。
- 医療費助成:18歳までの子どもに対して、保険医療費の自己負担額の一部を助成してくれます。
- こども医療費助成:②の医療費助成と違い、所得制限はないが親に対する医療助成がないので注意が必要です。
- 児童育成手当(東京都):18歳までの児童がいる家庭に対して、児童1人につき月額13500円が支給されます。
いずれの制度にも所得制限などがありますので、市区町村の窓口でよく確認をしてください。
就業支援編
1. ひとり親家庭の在宅就業
在宅での仕事を希望するひとり親に対し、在宅就業コーディネ―ターを通じ、ノウハウの習得や雇用を支援します。
2. 母子・父子自立支援プログラム
児童扶養手当を受けている親に対し、本人に適した自立支援プログラムを作り、教育訓練等を受講し、それと連携した就労支援を行います。
3.教育訓練給付金
ひとり親家庭の親が教育訓練講座を受講した場合、給付金を受け取ることができます。
4.高等職業訓練給付金
一定の条件の下、ひとり親家庭の親に対して、資格取得のための給付金を支給します。
5.高等職業訓練資金貸付
高等職業訓練給付金を活用して講座を受けているひとり親に対して、入学準備金や就職準備金を貸し付けます。
6.高卒認定試験支援金
ひとり親家庭の親または児童で、高卒認定試験合格を目指す講座を受けている人に対し、給付金を支給します。
経済的支援編
1. 児童扶養手当制度があります
ひとり親家庭における18歳までの児童に対して、子ども1人ずつに支給されます。
扶養人数や所得によって、支給金額が異なるので注意が必要です。
2.母子父子寡婦福祉資金貸付金制度があります
ひとり親家庭で子どもがいる親に対して、その経済的自立のため資金を貸し付けています。
① 事業開始資金、②事業継続資金、③修学資金、④技能習得資金
⑤ 修業 資金、⑥就職支度資金、⑦医療介護資金、⑧生活資金、
⑨ 住宅資金、⑩転宅資金、⑪就学支度資金、⑫結婚資金(計12種類)
3.減免と割引手当制度があります
① 寡婦控除:死別や離婚によって夫から離れ再婚していない女性が受けられます。
② 国民健康保険の免除:前年より所得が大幅に減少したり病気などで生活が困難に陥った場合には、国民健康保険税の免除が受けられます。
③ 国民年金の免除:所得が少なく年金を収めることが難しい場合には、国民年金の免除が受けられます。
④ 上下水道料金の割引:児童扶養手当を受給している家庭に対して、上下水道の基本料金が減免されます(市区町村による)
⑤ 保育料の免除や減額:保育所に入る児童の年齢と親の所得額または住民税の金額によって、減免が受けられます。
4.養育費の確保
① 養育費確保のため、養育費等相談支援センターや市区町村の相談窓口に、専門知識を持つ相談員がいます。
② また協議離婚に際して、養育費や面会交流の取り決めや離婚後の生活を考える講座を開催しています。
ひとりで悩まず、市区町村の窓口に相談を
ひとりでの子育ては、二人親以上に悩みも多く疲労も大きいです。
ひとりで頑張るだけでなく、こうした制度もしっかり利用して、心身とも健やかに過ごしてください。
