はじめての介護サービス開始までの流れ

はじめて介護サービスを利用するときは分からないことだらけ。
介護は突然やってきて、気持ちを整えるだけでも精一杯なのに、介護サービスを受ける準備をしなければなりません。
少しでも不安を解消できるよう、介護サービス開始までの流れをやさしくまとめました。

介護サービスは「申し込めば利用できる」ではない

サービス開始まで2カ月かかって大変だったという話

たとえば親が退院して、リハビリの治療が終わるまでの間、介護が必要になったケース。
「しばらくの間なら、家族である自分が手伝えばいいや」と思うかもしれません。
しかし、実際に入浴などの手伝いを始めてみると、けっこう大変。
仕事で疲れて帰ってきて、想像以上に体力も必要で……。

やっぱりプロにお手伝いを頼もう!と思って入浴介護のサービスを申し込んだら、「まず要介護認定が必要です」と言われ、手続き等で結局2ヶ月以上かかってしまった。
その間、とても大変だった!というのはよくある話です。

「介護保険の被保険者証をもっているのだから、申し込めばすぐにサービスを受けられる」と誤解しているひともいますが、実際には次のような手続きが必要です。

  1. 市町村の担当課あるいは地域包括支援センターで相談
  2. 要介護認定の申請、要介護度の調査・判定
  3. 要介護度に応じたケアプランの作成
  4. 介護サービス事業者と引き合わせ、契約後、サービス開始

1.市町村の担当課あるいは地域包括支援センターへ

高齢者福祉の担当課(市町村により名称が異なります。受付等で案内してもらえます)、または近くの「地域包括支援センター」で介護サービスを利用したい旨を相談しましょう。

2.要介護認定の申請、要介護度の調査・判定

介護サービスは、その人の「要介護度」によって受けられるサービスが決まります。
要介護度とは「どのくらい介護のサービスが必要か」の目安で、7段階に分けられます。
介護を必要としている人の要介護度を、職員の調査や専門家の判定などで決める手続きが「要介護認定」です。

要介護度・要介護認定については、こちらの記事もぜひご覧ください。

3.要介護度に応じたケアプランの作成

ケアプランは、必要な介護サービスを適切におこなうための、介護の計画書です。
本人や家族の意見を聞きながら、介護を必要とする人それぞれにあわせて作成します。

  • 要支援1・2の方は、地域包括支援センターがつくります
  • 要介護1~5の方は、介護の専門家「ケアマネジャー」がつくります

「要介護」の方は、専属の「ケアマネジャー」と契約します。ポイントは?

要介護になった方は、市町村に登録されている「居宅介護支援事業所」に所属する「ケアマネジャー」から契約したい人を選びます。
ケアマネジャーは、介護サービスを受けるひとにとって二人三脚でガイドしてくれる存在。
家族にとっては、大事なひとをお任せする存在です。
できるだけ相性がよくて能力の高い人と出会いたいですよね。

とはいえ、はじめて利用するひとにとっては、いくつもある事業所のうち、どこの誰と契約するのがいいのか、判断できません。(役所も立場上、あっせんはできません)
ですので、

  • すでに介護サービスを利用しているひとから評判を聞く
  • 実際に何人かのケアマネジャーの方とお話してみる
  • 地域包括支援センターで相談してみる

など、事前に調べておくといいかもしれません。

4.介護サービス事業者と引き合わせ、契約後、サービス開始

ケアプランにもとづいて、実際にサービスをおこなう事業者を手配、契約します。
わからないことがあれば、ケアマネジャーが説明、アドバイスをしてくれるので安心です。

手続きにかかる時間をふまえて行動しましょう

担当課へ要介護認定の申請を出してから実際のサービス開始まで、およそ2ヶ月前後かかることになります。
それまでの間どうしたらいいのか、対策が必要な場合はよく話し合って決めましょう。

民間の介護サービス事業者を利用する

介護保険適用でない民間の介護サービスを利用することも一つの方法です。
たとえば高齢者向けの食事(お弁当)配達サービスや、ヘルパーサービスなどがあります。
地域包括支援センターには、こうした民間の事業者の情報もありますので、相談してみてください。

緊急性を要する場合はどうしたらいいの?

一人暮らしで入院中の方が、退院しても日常生活に支障が出ることがわかっている場合など、2ヶ月も待っていられない!と不安に思うでしょう。
ほかにも、高齢者世帯で互いの介護が難しいとか、子どもが遠方で暮らしていて頼れないなど、「今退院しても介護してもらえる状況でない」ケースは多くあります。
その場合は、病院の相談窓口へ相談してみてください。
家庭や本人の状況にあわせてどのようにするのがよいか、市町村の担当部署や、地域包括支援センターと連携しながらアドバイスをもらえたり、手続きの案内をしてくれます。

一人で悩まず「地域包括支援センター」へ

さまざまな手続きやお金の心配にくわえて、生活が変化することへの不安や家庭・家族の問題など、はじめて利用する人にとっては単に「介護サービスを利用する」以上のものです。
困った・苦しい・どうしたらいいかわからない、そんなときはお近くの地域包括支援センターを訪れてみてください。
地域包括支援センターは、高齢者の生活全般について行政や医療機関などと連携しながらサポートしてくれる施設です。
きっと力になってくれますよ。