健康保険の使いみちを確認しましょう

健康保険には、困った時のありがたい制度や、知っておくと役に立つしくみがあります。
普段健康であるほど、いざというとき忘れがちな内容もありますので、ご紹介します。

自分が加入している健康保険の内容を知りましょう

どなたも、お医者さんにかかるときに健康保険証を窓口に出していると思います。
この健康保険は、お医者さんにかかるときに医療費の負担を抑えるだけでなく、ほかにもさまざまな保障があります。

国民健康保険あるいは社会保険(協会けんぽや業界団体の健康保険組合)など、加入している健康保険のホームページを見て、保障内容や使用時の注意点などを確認しておきましょう。

国民健康保険に加入している方は、市町村国保の場合はお住まいの市町村のホームページに案内があります。

たとえばこんな時(国保の場合の例)

出産したとき(出産一時金)

被保険者が出産(妊娠4か月以上の死産等を含む)したときは、出産育児一時金として42万円支給されます。

被保険者が亡くなったとき(葬祭費)

葬儀を行った方に葬祭費として5万円(市区町村によって異なります)が支給されます。

入院したとき(入院時食事療養費・入院時生活療養費・高額療養費など)

入院中の食費や生活費など治療以外にかかったお金の一部が支給されたり、医療費が一定以上になった場合の差額が支給されます。

たとえばこんな時(協会けんぽの例)

協会けんぽの場合は、上記と同様の保障のほか、次のような場合にも保障される制度があります。

病気やケガで仕事を休んだとき(傷病手当金)

業務外の理由による病気やケガのために仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、一定額が支給されます。(業務理由の病気やケガは労災保険による保障になります)

  • 連続する3日間(待機期間)を含み4日以上仕事に就けず、4日目以降の休業した期間に、給与の支払いがなかった場合、支給開始日から通算1年6ヵ月の間、1日当たり標準報酬日額の2/3が支給されます。

なお、健康保険組合によっては、傷病手当金に加えて傷病手当付加金も支払われます。

国民健康保険にはこのしくみはありませんが、例外もあります。
個別の国民健康保険組合によっては、付加給付として実施しているところもあります。
また、新型コロナウイルス感染症による休業の場合、特例的に傷病手当金を支給している自治体もあります。

交通事故などで治療を受けるときは必ず連絡を

交通事故の被害にあった、他人の飼い犬に噛まれた、ケンカに巻き込まれたなど、第三者からケガをさせられた場合、病院で治療をする際は病院が加害者側の保険会社に治療費を請求するのが通常です。
しかし病院によっては、治療を受けた被害者本人に対して、一時的に治療費を請求する場合や、健康保険を利用して治療費を支払った方が良い場合があります。
実際治療を受ける場合、あらかじめ知っておいた方が良い知識を解説します。

交通事故の被害者の治療費は、加害者が支払うことが原則

自動車の保有者は、自賠責保険への加入が義務付けられ、加害者(あるいはその保険会社)が賠償責任を負うことになっています。

保険会社と話がついていない段階では、病院が治療費を一旦被害者に(立て替え金として)請求してくることがあります。
しかし、まずは「自分は交通事故の被害者なので、支払いについては加害者の保険会社に直接請求して欲しい」と、病院に相談してみてください。

健康保険を使って治療したほうが良いケース

原則は加害者が賠償責任を負うことになっていますが、加害者の任意保険会社から十分な損害賠償を受けられない場合は、健康保険を使うことにより治療費を抑えることができます。

下記のようなケースでは、健康保険を使ったほうが良いです。

  • ひき逃げで加害者を特定できないとき
  • 被害者の過失割合が大きいとき
  • 加害者が任意保険に加入していないとき

自賠責保険には支払限度額があるため、治療費がそれ以上の場合、自賠責保険からの補償だけでは不十分となります。

※健康保険を使う場合、治療費は健康保険組合が一時立替えをして、後日加害者にその立替え分を請求することになるので、被害者側から健康保険組合に届出が必要となります。
よって健康保険を使うときは健康保険組合へ電話などで連絡後、後日必要書類を提出するようになります。

例:協会けんぽの場合

治療費について病院の支払い窓口でどうすれば良いか相談することになると思いますが、このようなことを思い出してください。

また、加害者の保険会社から十分な治療費が支払われることを確認するためにも、加害者の連絡先だけでなく、加入している自動車保険の会社名なども忘れずに聞いておきましょう。