保険はかしこく入ってかしこく利用しましょう

保険には、公的な医療保険・介護保険のほかに、民間保険会社によるさまざまな保険商品があります。
一般的な保険商品の選び方、使い方についてやさしくまとめました。

なぜその保険が必要なのかをはっきりさせる

「保険は人生で2番目に高い買い物」といわれています。
お付き合いで言われるままに加入するひとも多いですが、長期にわたって掛け金を払い続けるのですから「何のために保険に入るのか」をしっかり考えましょう。
たとえば次のような選び方が考えられます。

  • 「自分が死亡した後、家族が困らないように」→ 定期保険、収入保障保険
  • 「老後の生活資金の足しにしたい」→ 個人年金保険
  • 「老後の生活資金の足しにしたいが、万が一の保障もほしい」→ 終身保険
  • 「子どもの学費に充てたい」→ 学資保険
  • 「病気やケガでの入院に備えたい」→ 医療保険
  • 「がんになったら…」→ がん保険
  • 「自動車を買った」→ 自動車保険
  • 「ケガをしたり、させたりした時に」→ 傷害保険
  • 「海外旅行先で困らないように」→ 海外旅行保険

などです。保険会社の商品はさまざまなニーズに合わせた保険商品がありますから、優先順位をきちんと伝えましょう。
複数の保険会社の商品を取り扱っている会社では、さまざまな商品から、あなたに合ったものを提案してもらえます。

支払いに無理のないことと、保障にムダ・不足がないこと

数十年にわたり払い込む保険料に無理がないかどうか、保障内容に過不足がないか、を検討しましょう。
解約時にもどってくるお金(解約返戻金)や、満期になった場合の扱いなども確認しておく必要があります。

また、公的な保障についても確認しておくと、プランが立てやすくなりますね。

  • 公的な保障(国民年金、遺族年金、健康保険など)
  • 企業の保障(会社勤めの人は、社会保険と厚生年金へ加入していますよね)
  • 個人の保障(保険会社の生命保険や個人年金など)

たとえば個人年金保険に加入する場合

まずは「ねんきん特別便」「ねんきん定期便」で送られてきた内容を確認して、老後の生活をシミュレーションしてみましょう。

国民年金を20歳からキッチリ40年間納めた場合、満額で年金が支給されます。その額は月平均65,000円程度。
とても充分とはいえませんね。

国民年金基金もあわせて加入している場合は、さらに上乗せされます。
加入している型・年数により異なりますが、国民年金基金のページでシミュレーションできます。

厚生年金に加入している場合も、加入年数・平均報酬月額により支給される金額が異なります。
また、転職等で職場や給与が変わればさらに複雑になりますので、一度、年金事務所を訪れて確認してみるのがよいでしょう(その際は年金手帳を持っていきましょう)。

さて、老後の生活費のあなたが受け取る金額は、本当に足りていますか?あといくら必要ですか?

たとえば開店資金を借り入れた場合

お店を開くのにお金を借りました。
返済期間中に万が一のことを考えて保険に入るのであれば、定期保険に加入する方法があります。
掛け捨てですが、その間元気で働いて順調に返済が済めばいいのだ、と割り切って考えると、終身保険などとくらべて保険料は安く済みます。
目的がはっきりしていると、それに見合った保険に納得して入ることができるのです。

たとえば若いうちに保険に加入する場合

老後のための貯蓄になるものを選びつつ、病気やケガに備えることをベースに考えていくのがよいでしょう。
医療保険は若くて健康なうちに入ることで掛け金も安く済むため、若いうちに入るのが有利といえます。
元気だし、保険はまだ先でもいいや、という考え方ももちろんあります。
子どもができて奥さんが退職したり、子育てにお金がかかるようになってくると、保険料の支払いが厳しくなったり、加入しづらい状況になるかもしれませんから、そういったことも考慮しておきましょう。

給付金が出るケース・出ないケースを確認しておく

保障されると思っていたのに、給付金が出ません、と言われるケースがあります。
たとえば次のような場合です。

  • 医療保険の加入時に、治療している病気があることや服用している薬があることなどを告知しなかった
  • 自動車保険で飲酒により事故を起こした
  • がん保険に加入しているが、免責期間内だった など

逆に、給付金が出るのに手続きを忘れて、損してしまうケースもあります。

  • 特約に入っていたのに忘れていた
  • 家族の保険の保障内容を把握していなかった

健康で毎日を過ごせている、平穏無事な生活を営んでいる人ほど、加入している保険の内容は忘れがちです。
「どんな時に使う保険なのか」をわかるようにしておくことをおすすめします。

何かあったら加入している保険会社に連絡するのが一番

「こういうことがあったんだけど、今入ってる保険って使えるの?」と聞けば、保障のきくものがあれば答えてもらえます。
加入した保険の問い合わせ先、あるいは担当の方の電話番号をわかるようにしておきましょう。

保険の見直しのタイミングは?

保障内容や保険料の支払いなど、家庭の事情や年齢などにより、加入している保険を見直すこともあるでしょう。

  • 結婚したので、万が一のための保障がほしい
  • 離婚したので、死亡保険の名義を変更して保険金の額を減らしたい
  • 子どもが生まれたので、保障を厚くしたい
  • 子どもが成人したので、夫婦の保障だけでいい
  • 定年退職を迎え収入が減ったので、保険料の支払いを減らしたい

など、主に家族の増減や成長によって、必要な保障内容は変わってきます。
いわゆる「保険の乗り換え」を上手にするためには、乗り換え(が見込まれる年齢)での収入や家族構成が重要になってきます。
最新の保険商品には良いものもたくさんありますが、加入時の年齢によって掛け金が高くなったり、貯蓄型の保険などは以前加入したものの方が条件が良い場合も多くあります。
「支払いがきつくなってきたから保険料が少ないものに乗り換えたい」という場合は、乗り換えによる不利益がある場合についても注意しましょう。

家族の保障内容をまとめてわかるようにすると安心

家族が加入している保険について、お互いが把握できていますか?
本人以外わからない、あるいは本人もよくわからない状態ではありませんか?
本人が病気やけがで受け答えができない状態だった場合、お手上げになってしまいます
そういうときのための保険ですから、いつでも使えるように準備しておきましょう。
ファイナンシャルプランナーに、簡単にできる保険の管理方法を聞いてみました。

クリアポケット付きのバインダーに整理

百円ショップなどで購入できる「クリアポケット付きのバインダー」を用意します。
一つのポケットに、一つの保険の書類をまとめて入れておきます。
「このポケットにこの保険の書類が全部入っている」という状態にしておけば、何かあった場合にあちこち探さずに済みます。

保障内容を整理して書き出し「早見表」にする

加入している保険について、保障内容など基本的なことを書き出して表にします。
保険会社によって書式がちがうので、書き方をそろえることでわかりやすくなります。

書き出す項目は、

  • 誰が加入している保険か
  • 保険会社名(連絡先)
  • 保険の種類(どんな時に使うか)
  • 保障額
  • 保障期間
  • 保険料をいつまで払うか(重要)
  • 支払い方法(重要)

加入時に保険の営業担当のひとに手伝ってもらうことをおすすめします。

親の早見表も作っておくと安心です

保険の話や引き落とし口座の話は、ともすれば微妙な空気になりがちですが、高齢の親御さんが元気なうちに、整理しておくことは大事なことです。
いざ病気になったときに使えないのでは、何のための保険かわかりませんよね。

たとえば医療保険などは、引き落としができないと「失効」してしまいます
一度失効した保険を復活させるのは大変な手続きです。
病気になってから、そして高齢になってから保険に加入しなおすのもまた困難です。

取り返しのつかない事態を防ぎ、安心して日々を暮らすためにも一度確認してみてください。

年末調整用のハガキも別のポケットにまとめておくと便利

年末調整用に保険会社から送られてくるハガキ。いくつかの保険に入っていると、送られてくる時期もまちまちです。
出揃うまで、開いているポケットにまとめておきましょう。
その際に上記の早見表を見直すなどしておくと、いざという時に役立ちます。

考えたくない、家族の一大事。
そんなときこそ、手続きなどはスムーズに済ませてあげたいですよね。